ここは、伏見稲荷(ふしみいなり)神社です。
義経は、家臣の弁慶たちわずか数人で、やっとの思いで、
都からのがれてきました。
世の中でたったひとりの兄弟の頼朝から信用してもらえず、
義経のこころは、とてもきずついていました。
これからさきも、たくさんのきけんがまちうけていることでしょう。
かよわい静御前(しずかごぜん)をいっしょにつれていくことは
できません。
「おねがいです、わたしもつれていってください」と
義経をしたっている静御前は、わかれることがつらくてないています。
義経は、家宝の初音の鼓(はつねのつづみ)を静御前にあたえ、
「この鼓を、わたしだと思って、都でまっていてくれ。」
となみだをこらえていいました。
そんなようすを、いっぴきのこぎつねが、木のかげから、
じっとみつめていました。
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