勧進帳かんじんちょう



 武蔵坊弁慶 
兄 頼朝に謀反人として追われる義経主従は勧進の旅を装い
山伏に化け加賀の国安宅(あたか)の関にさしかかります。

関守の富樫左衛門(とがしのさえもん)に、
奈良東大寺建立のために諸国を廻るというなら勧進帳を読めと
迫られ、弁慶は白紙の巻物を読み上げる大バクチに出ます。

歌舞伎十八番のひとつで弁慶の演技は荒事の力感が充ち、
最後の飛六方は人気演目の最高の瞬間です。



富樫左衛門 
安宅関を守る北陸随一の知将 富樫左衛門。
山伏に化けた義経主従ですが富樫の疑いの目はするどく、
弁慶に勧進帳を読んでみろと迫ります。

次いで仏教の難解な質問攻めをしますが、
それにも弁慶はスラスラ答えます。
通行が許されたその時、関所の番卒が強力(ごうりき)姿の
義経に気付き絶体絶命の瞬間、
「愚かな強力め!荷運びがグズだから怪しまれるんだ!」
と弁慶は主君を涙ながら杖で打ち据えます。

それを見た富樫は義経と知りながらも、
一行の絆に心打たれ関を通すのでした。

品と温の義経、剛と智の弁慶、節と情の富樫、
三人の芝居は「人間を信じる勇気」を描き出しています。
 


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