おくでこのようすを聞いていた義経は、じぶんもおさないころ父をなくし、
親ともおもっていた兄からもみすてられ、
子ぎつねのきもちは、いたいほどよくわかりました。

静御前は、子ぎつねをよびもどそうと、鼓をうちますが音がでません。
きっと親のたましいがやどっているこの鼓も、
わかれをかなしんでいるのかもしれません。

そこへ、義経をつかまえようとくわだてている、
荒法師たちが、なだれこんできました。
二人は、助けをよぶまもなく、あっというまにとりかこまれてしまいました。
義経は、静御前をかばいながらも、「もう、これまでか!」と、
あきらめかけたときに、手もふれていないのに初音の鼓が、なりだしたのです。

するととつぜん、ドッガーン!と雷鳴がとどろき、かぜがふきあれ、
子ぎつねがもどってきました。
荒法師たちは、きつねのあやつる妖術で
さんざん、きりきりまいさせられてしまい、にげていってしまいました。



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