静御前と狐忠信のあとから、どこでかぎつけたか
逸見藤太(いつみのとうた)と家来たちが追いかけてきました。

しかし、藤太はとてもおくびょうものです。
頼朝の命令でしかたなく、ここまで来てしまったけれど、
義経のまわりには、うでのたつ武将がそろっています。
とくに弁慶が、だいのにがてで、あのおそろしい顔を見ただけで
ふるえあがってしまいます。

そこで家来のひとりを、ようすを見にいかせました。
「いました、いました、女がいました。」
「なに!女だと、よしよし、おれにまかせろ!」と言って、
のぞいてみると、静御前が鼓を手に唄をうたっています。
「なんてうつくしいひとなのだろう」藤太は、うっとりしてしました。

家来たちは、二人をつかまえようとしますが、
狐忠信のまえに、あっさりおいはらわれてしまい、
なさけないことに藤太は、二人のたびじたくのてつだいまで
させられてしまいました。

そしてふたたび、静御前と狐忠信は、
義経のかくまわれているやかたへと、むかっていきました。



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