ここは、河連法眼(かわつらほうげん)のやかたです。

義経は、おさないころ、あじゃり というお坊さんにそだてられました。
河連法眼は、あじゃりのお弟子さんで、
そのつながりで義経たちは、たよってきました。

にわから見えるうつくしい桜も、山々も義経のしずんだこころを
いやしてはくれません。
いくさで父をうしない、やっとの思いでめぐりあえた兄からは、
いまではいのちをねらわれています。
自分も武将として、平和な世の中をつくるためにたたかってきましたが、
いくさは、だれもしあわせにはしませんでした。
もうこのやかたのまわりにも、頼朝の追手がせまってきています。

吉野山にすむ荒法師(あらほうし)たちからは、
「義経をつかまえて、さしだしてしまえ」というこえがきこえてきます。
もうかくまいきれません。
法眼は、自分のいのちにかえても
義経をあんぜんなところへおちのびさせようと、けっしんしました。



義経が着ている衿の立った変った衣裳は、小忌衣(おみごろも)といいます。

位の高い人が着る日常着で、歌舞伎独特な衣裳です。




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