「とおいむかし、ながいあいだ日照りがつづいて、
人々は、たいへんこまっていました。
大地はひびわれ、作物はかれはて、もうたべるものものむ水も
なくなってしまいました。

そんなとき占い師が、伝説のめぎつね、おぎつねの皮で鼓を作り、
それをたたくと雨がふるといいました。

人々は、伝説のきつねをつかまえ、その皮で鼓を作り、
いのるようなきもちでたたくと、またたくまに黒い雲が空をおおい、
雨がザーとふりだしました。

助かったのです。みんなは、手をとりあってよろこびました。
命をすくってくれた、伝説のきつねにいのりをささげました。

その鼓は、長く苦しんでいた人々が、はじめてよろこびのこえを
あげたということで、初音の鼓と名づけられ、たからものとして
たいせつに、うけつがれてきたのです。

そして、「わたしは初音の鼓の子供でございます」といって、
すがたが消えたかとおもうと、
光につつまれた、まっしろなきつねがあらわれました。



狐忠信の衣裳は、毛縫いといいます。

長い絹糸の毛足が動きにあわせて
ふさふさ揺れて、狐らしさを表現します。




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